国籍法改正案について

オド 亨

2008年11月17日 16:31

 ご無沙汰しております。
日々の活動の合間に筆を取っているので、更新が遅れがちになっていることをお詫びいたします。

 今日は、私の政策に関しての話をひとまず置いといて、今国会で審議されている『国籍法』の改正案についてお話しします。


 この国籍法の改正案について、私は断固反対であります。
なぜなら、現在の改正案では、あまりにも簡単に日本国籍が取得できてしまうからです。

 今年の6月に、国籍法第3条の『父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のもの(日本国民であった者を除く)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であった場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であったときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。』という内容は婚外子の差別であり、憲法第14条の『すべて国民は法の下に平等』という平等権に違反するとの最高裁判所判決がありました。
それを踏まえて、今国会において、父母が婚姻していない子であっても届出をすることによって日本の国籍の取得を可能とする(結婚用件の撤廃)ことなどを内容とする国籍法の改正が審議されようとしています。

 私は、父母が婚姻していない子についても日本国籍が与えられることについては、必ずしも反対ではありません。
法律というものは、時代や社会情勢に合わせて改定し、適切に運用することが肝要ですから、海外にて代理出産で生まれた子等々、国籍法が制定された折には想定していなかったであろうと思われる日本国籍が認められてもいい事案、認められるべき事案はたくさんあります。


 ただ、今提出されている改正案には、重大な欠陥があります。
それは、DNA鑑定等の科学的根拠に基づく証明の手段が、まったく義務付けられていないことと、偽装認知に関する罰則規定があまりにも緩く(20万円以下の罰金ないしは1年以下の懲役)、抑止効果に疑問があることです。

 DNA鑑定等による『実の子であることの証明』が必要ないのであれば、自己申告のみで誰でも日本人になることができるようになる、つまりは偽装認知が簡単に出来てしまうようになります。
虚偽の申請を見抜く手段がないということは、本法改正案の悪用を防ぐことが著しく困難になることが予想されますし、それに対する罰則規定も緩やかとなれば、まさに『ザル法』と言えるでしょう。



 国籍の偽装認知が横行することは、国家の安全保障の根幹を揺るがす大変な問題となります。
多種多様の懸念がありますが、そのひとつの例を挙げると、たとえば日本国籍を持つ子供を盾とした外国人の流入が増加することが考えられます。

 現在、海外から流入する外国人の不法滞在が、特に都市部を中心として問題視されています。
それを鑑みて、東京都の石原都知事が新宿歌舞伎町の大規模摘発を行ったりしていますし、入国管理局の不法滞在外国人の摘発はテレビ等でもよくニュースになっていますが、それでも日本の豊かさを求めて流入する外国人は年々増加傾向にあり、また不法滞在外国人が起こす凶悪犯罪も増加の一途を辿っており、治安の悪化が早急に解決すべき課題として浮上してきています。

 不法入国をしてでも日本にやって来る外国人が後をたたず、また偽装結婚をしてでも日本国籍を有し、子供を理由として日本に滞在したいと考える外国人が絶えないような今の世の中、この内容では不法滞在に無条件の法的根拠を与えることに繋がり、また認知ビジネスが横行する可能性も大いに考えられますから、現行法でも多数発生している犯罪の敷居をさらに下げることに繋がるこの改正案は、まさに『改悪』と言い切ってしまっても過言ではないものであると私は考えます。



 国籍を有するということは、義務や権利という『責任』を背負い、日本人として生きていくということです。
価値観が多様化し、従来の『日本人観』が薄れてきた昨今ではありますが、それでも日本人としての責任、国籍というものの重さが軽んじられるようなことがあってはなりません。


 今現在、国会ではこの国籍法の改正をはじめとして、人権擁護法案、外国人参政権付与法案など、わが国の根幹を揺るがしかねない様々な法案が審議されようとしています。
政策に謳っているような、世の中をより良くしていくことももちろん大切なのですが、日本の不利益となるような事態を防ぐのもまた、政治家の使命であると私は考えております。



 まずは選挙を勝ち抜き、このような問題にもしっかりと対応していきたいと思います。

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