基地問題について ②
前回に引き続き基地問題についてですが、本日はもうひとつの大きな曲解である、『75%』という数字についてお話します。
『沖縄にある米軍基地の割合は、全国比75%を占めており、沖縄は重い基地負担を背負わされている。』と、巷ではよく言われています。
最近では、民放のみならずNHKまでもが、「沖縄には米軍基地の75%が集中している」と、事実とは異なることを平気で放送しています。
しかしこれもまた、曲解です。
この75%という数字は、一般的に捉えられているような在日米軍基地全体に占める割合ではなく、在日米軍基地全体の中の一部である、
『米軍専用基地』に占める割合を捉えた数字です。
日米安保に基づいて我が国が米軍に提供している在日米軍基地は、沖縄県の基地対策課が毎年出している統計資料によると、全部で
135施設(施設総面積101,113ha)存在し、その中には、山口県の岩国基地、神奈川県の厚木基地、青森県の三沢基地といった
日米の共同使用基地と、東京都の横田基地、神奈川県のキャンプ座間、そして沖縄県の嘉手納基地・普天間基地、キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワーブといった
米軍専用基地があります。
その米軍専用基地は施設総面積で
31,206haあり、これは共同使用基地も含めた在日米軍基地全体から見ると、30%程度ということになります。
その30%の米軍専用基地の内、沖縄に
23,671haの基地があり、つまりは
米軍専用基地について、74.7%を占める、ということになります。
ちなみに在日米軍基地全体から見ると、在沖米軍基地の割合は全体の1/4弱である
23.4%ということになり、これは
北海道の34.1%(34,463ha)に次いで第2位、となっています。
北海道については、その施設の内訳は演習場が大半を占めており、一般的な、軍隊が常駐する『米軍基地』とは少し状況が異なりますが、それは沖縄においても同様で、最も大きな米軍専用施設は北部訓練場であり、それ以外にもギンバル訓練場・金武ブルービーチ訓練場・キャンプハンセンの大半も演習場として使用されています。
ちなみに米軍専用施設の使用状況の内訳を見ても、演習場が54%を占めているということも付記しておきます。
説明が長くなりましたが、先述した
『沖縄にある米軍基地の割合は、全国比75%を占めており、沖縄は重い基地負担を背負わされている。』という言葉は、自衛隊との共同使用である岩国基地や厚木基地といった日米共同使用米軍基地の事には目を瞑り、基地反対を標榜するのに都合のいい、米軍
(専用)基地の全国比『75%』という数字だけを捉え、ことさら強調しているということであり、これは情報操作と言っても過言ではない、と私は思います。
『沖縄の基地負担が過重である』というのは県民意識でありますが、それでも
『23.4%』と
『75%』では、イメージが大きく違います。
今後段階的に進んでいく基地整理縮小の推進のためにも、『過重負担』というイメージを前面に押し出すためだけに作られたパフォーマンス的なこの曲解は、正されなければならない最たる事例である、と私は考えています。
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